こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。
とうとう衆議院選挙が公示されましたね。安倍首相の突然の解散に唖然としながらも、おもしろいような紆余曲折の前哨戦で三極による選挙ということがハッキリしました。
まるで「赤いきつね」と「緑のたぬき」、これに「青いちゃんぽん」の三つ巴。「青いちゃんぽん」って知ってましたか?…そういうものがあるらしいですよ。
赤いきつねは方向性はまとまっているけど行き先が違うし、緑のたぬきは化かし合いの中で強制的に方向性をまとめただけ…ルックスもたぬきですが(笑)、青いちゃんぽんは、いろいろな具が入っていても一応行く先は一定という感じでしょうか。今回の選挙は本当に面白いですね。
■ 結論ありきの議論
さて、そんなバカ話はさておき、今日は、第2回労働政策審議会労働政策基本部会に行ってきたのでその話を。
結論から言うと、最初から結論が決まっているのに1時間半の時間を費やした会議、というのが実態でした。
なぜならば、ひとしきり各委員が意見を言ったあと、最後に「では今後こういう内容で進め方をさせてもらいます」という感じで、「今後の労働政策基本部会の進め方イメージ(粗案)」という資料が配られたからです。
最初から、議論の内容も進め方も決まっているのが見え見えです。
■ 鳴り物入りの割には
そもそもこの労働政策基本部会、昨年の7月28日から鳴り物入りで立ち上がった「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」で5回議論され、12月14日に塩崎前厚生労働大臣の出席のもと報告がされたことを契機として立ち上がったものです。
この「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」は、従来の労働政策審議会の運営を見直すことを目的としてできた会議で、労政審の議論が遅いとか中途半端だといった批判をなんとかしたいというところから始まったはずです。
しかし、その報告書自体も課題として「議論する政策課題と議論の場」「データやエビデンスに基づく議論」「議論のスピード」「多様な意見の反映」の4つが挙げられただけのお粗末なものでした。
一般企業を考えれば当たり前のことしか挙げらていません。それにも関わらず、今日の第2回の議論では、第1回に挙げられて委員からも散々評判が悪かった論点が、結局ほとんど同じ内容のものがそのまま示されただけです。
■ これが労働政策の基本?
第1回と第2回の間は、ひたすら各委員に根回しをしたという印象が否めません。
なぜなら、第1回とほとんど同じ内容にも関わらず、今回の第2回ではほとんど異論がでなかったからです。
折しも衆議院選挙のドタバタ劇を観たタイミングでは、安保反対と言っていた人たちが「適切に運用し、現実的な安全保障政策を支持する」と言いだしていることにオーバーラップしてしまいます。
今日の最後に示された「今後の労働政策基本部会の進め方イメージ(粗案)」の内容は以下のとおりです。
<第3回:11 月頃>
<第4回:12 月頃>
<第5回:来年2月頃>
<第6回:来年3月頃>
<第7回:来年4月頃>
<第8回:来年5月頃>
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ここまで絞り込んだところから雇用政策の「基本」となる答えはでるのでしょうか。しかもこれから6回です。意見を訊くにはよいかもしれませんが、政策を検討するにはむしろ素人の人の方が多いとも言えます。
内容的には研究会のようなイメージですがどうしても物足りなさが残ります。…というよりも、とても覚束ないというのが正直な感想です。
■ 言外ににじむ委員の不満?
労働政策の「基本」を扱うにしては、どうしても物足りなさを感じます。
その場しのぎのおざなり部会、労政審を横断的にという位置づけになるべき部会が、既存の部会が手をつけていないところに手をつけてみるだけで、「基本」部会というよりも「その他」部会という感じです。
委員のなかからも、言外に「本来は…」という第1回と第2回の間の根回しにも納得しきれていないコメントもありました。
もっとも光った発言をしたのは、連合総合生活開発研究所理事長(元連合会長)の古賀伸明氏。
社会や産業といった大きな流れの整理が必要、人口減少、社会性、共生の視点が必要と、さすがに大きな視点で発言をされていました。役者が違うという感じでした。
これは本当にそう思います。そのためにこの労働政策基本部会ができたと認識していたのですがどうなんでしょう…。
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